千代田区長による「議会解散通知」これは昨日記事に書いたように、法的根拠が相当に脆弱なものです。そして何より、これまで先人が積み重ねてきた、二元代表制や地方自治の歴史を踏みにじる暴挙です。
私は千代田区政の関係者ではありませんが、この地方自治の危機にいても立ってもいられず、ペンの力で対抗することとしました。
報道によると、千代田区長は法的根拠が脆弱なまま、勝手に「議会を解散」し、議会を存在しないものとして扱い、予算特別委員会を欠席し、また職員を欠席させています。
また、これから議会がないものとして、一人12万円の給付金を、専決処分(地方自治法第179条第1項)をして、給付し始めるのではないかと予想しています。
◆地方自治法第179条 普通地方公共団体の議会が成立しないとき(中略)、普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。(後略)
こんなことをしたら、まさに法治国家の崩壊です。
職員の皆さんは、公務員です。公務員は「法律による行政の原理」を貫徹する義務があり、これこそが皆さんの仕事の誇りです。不偏不党、公正公平を旨として、ただ、国民の代表がつくった法律や、住民の代表がつくった条例にのみ拘束されるのです。
他方で、職員の皆さんは上司の職務命令に従う義務があります。
区長が議会には出るな、一人12万円の給付金を執行しろと命令してくるでしょう。しかし、皆さんは既に試験勉強で習われたと思いますが、行政法学の通説的見解では、「重大かつ明白な瑕疵がある」違法無効な職務命令に従う義務はない、そしてむしろ従ってはいけないとされているのです。
今回の「解散」は、昨日書いた記事のように、地方自治法の厳格な要件を満たさないものです。
千代田区職員の皆さん、今一度、六法を開いて、自分の心に手を当てて、自分が誰に忠実に仕事をするのか、考えてください。区長の命令は確かに一次的には従うべきものです。しかしこれに隷従するのが職員の仕事ではありません。その命令が、法令に適しているのか、これを判断するのは、公務員一人一人の良心にかかっているのです。
皆さんは最終的には住民に奉職することです。住民の作った法令に拘束されることが誇りのはずです。
地方自治法の一次的な有権解釈権を有する、総務省の法解釈を前提として、千代田区議会が党派を超えて25人全員一致して区議会の解散無効を表明しています。これは相当に重い事実です。
皆さんは恐れることなく、良心のまま行動されてください。きっと議会が住民が、皆様を守ってくれることでしょう。
がんばれ、千代田区職員!皆さんの心意気が試されています。
一介の地方議員として、心からのエールを送ります。
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