千代田区議会議員全員25名が、党派を超えて、一斉に解散無効確認の裁判・執行停止を求める裁判を求めて提訴した。
なぜ千代田区長は違法な解散をしているのに、千代田区議は「執行停止の裁判」をしなければならないのだろうか、頭の整理をしておきたい。
(1)区長の見解
千代田区長による「解散」は、行政処分の性質を有している。
行政法の通説的見解として、行政処分は一般的に違法な処分であっても「公定力」があり、裁判で取り消されるまでは一応有効とされる(取消訴訟の排他的管轄)。
そこで千代田区長はこの立場で、今でも「解散は有効」と表明している。
(2)議員の見解
今回は、地方自治法の要件を満たさない「違法な解散」として、議員側は解散無効を主張している。
区長の見解との違いは、区長の「解散」は、「重大かつ明白な瑕疵のある行政処分」であるから、公定力はそもそも存在しなく、司法の判断を待たずして当然無効である、との立場である。
なお、今回、無効確認の訴えと同時に、執行停止も求めている。これは、解散は当然無効と考えるが、その効力を裁判が確定するまで停止してほしいという訴えであり、これは本案判決(無効かどうかの判断)前に判断されるため、
執行停止が認められれば、司法の判断として、当面千代田区議会が存在することが明確になるため、議会に区長が出席しない状態を回避できる。
その後、本案判決が出れば、司法としても正式に千代田区議会は存在することを認めることになり、千代田区長の「千代田区議会は存在しない」という言い訳は通用しないことになる。
区長による解散事由を厳格に制限している地方自治法の趣旨から考えると、区長の解釈は合理性がなく、私は、区議会側の解釈を全面的に支持しており、司法の判断もそのようになることを確信している。
ここにいう、地方自治法の趣旨とは、区長も議員も住民から直接選挙される制度となっており、このため、区長に自由な解散権を認めると、この機関競争(二元代表制)の趣旨が没却されてしまうという意味である。
これを自分の議会に当てはめるととても怖い。区長が自由に議会を解散できてしまえば、区議会議員は萎縮し、区長に対して適切なチェックを働かせることができなくなるだろう。区長の判断の問題点はまさにここであり、私がこうして区外にも関わらず筆を執っている理由はここにあります。これは日本の地方自治の歴史上、極めて恐ろしいことである。
裁判所が合理的な判断をすることを期待している。
がんばれ、千代田区議会!
地方議会の危機を救うため、区外からですが、千代田区議会の良識ある努力を全力で応援しています。
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